たかが30億ドルのスワップ。痛くもかゆくもない。韓国は桁違いの中韓通貨スワップ資金(3600億元・約64兆円)を活用した貿易決済制度をもって対応するというのが韓国の言いぐさであるが、これ意味あいが全く違う。ドルスワップは一般的にはデフォルトのような緊急時に対応する保険のようなもので普段は使わない。中韓スワップは中国元、韓国ウォンをドルを介さずに決済しようという2国間の貿易制度で、当然貸し借りは元とウォンだけであり、中韓では上海でのみ決済可能というシステムだ。当然これには金利がつく。スワップについては短期金利、3ヶ月または6ヶ月が適用される。この制度は発足以来ほとんど利用されていない。なぜなら韓国金利より中国金利の方が高く借りる意味がないことと、最近の中国経済危機で、銀行間貸出金利が暴騰し、10%、14%、30%と利用できる状況ではない。万が一韓国がデフォルトに陥った場合、その支払いはドルであるため、韓国がIMFを使わない場合、韓国は中国から元であれウォンであれ借り入れした金はドルに換金しなければならない。中韓スワップで融通しあうのは世界基軸通貨であるドルではないからだ。前回の韓国デフォルトの際は570億ドルの支援であったが、もし現状もしくはさらに経済悪化してのデフォルトであればその金額は前回の比でないのは明らかだ。外貨準備は3000億ドルを超えたと豪語なんて報道があったが、問題は負債とその中身だ。流動性外貨準備高は4割もないと思われるので決して安心できる状況ではない。仮に1000億ドルのデフォルトとした場合、中国からの借入は当然中国通貨元となる。その元を市場でドルに換金するわけだが現実にそんなことができるだろうか。はっきり言って不可能だ。もし可能だとしても元は大暴落、中国という国家そのものが破綻する。
逆に中国が破綻して韓国にスワップ申し込みの場合も理屈は同じ。この場合は共倒れだ。
中韓スワップ貿易決済協定は規模がいくら大きくても、いざという時にはなんの役にも立たないということがわかる。
日韓スワップ協定30億ドルは金額としては小さい。しかし、協定が存在するということが、いざという時の支援の証であり大きな保険なのだ。緊急時、その金額は100億ドルにも500億ドルにもなるだろうし、なんといっても日本が後ろ盾ということが大きいのだ。逆に協定が延長されなかったということは、日本は韓国を見捨てたというメッセージになりかねない。普通はそう受け取るだろう。このあたり韓国は全くわかっていない。
7月3日に日韓スワップ協定30億ドル分終了と報道されるや、4日には、韓国自ら不必要といっていた論調、意見が様変わり、日本の責任のオンパレード。その思考回路理解不能。これを待っていたかのように、5日夕から為替市場においてヘッジファンドが動き始めた。ドルウォンリアルタイムチャートを見れば一目瞭然だ。7時過ぎから、2,4,8,12ウォンとあおりが入り、8時前からはワロス曲線の世界に入ってしまった。10時過ぎからは1155から1142ウォンの完全ワロス曲線となりこれが約7時間市場が閉まるまで続いた。幅値10ウォン以上のワロス33回、13ウォン以上が29回である。現在市場が閉じているので詳細のチェックはできないが、それまでの幅値2ないし3ウォンが数回の状況から見て何が起こったのかは容易に想像できる。1日の取引金額は2012年11月時点で約70億ドルくらいのものであったから1回の取引高1億ドル程度であろう。その利幅、平均1%であるから1回当たり利益100万ドル、30回で3000万ドルがヘッジファンドに持って行かれた計算である。日本という後ろ盾がないと、歯止めがきかなくなる恐れがあるのだが、今となってはもう遅いか。米財務省は2012年11月、議会に提出した「国際経済・為替政策半期報告書」で韓国政府に為替市場への介入を自粛するよう圧力をかける方針を示したが、韓国は無視、無視、無視でこの結果。馬の耳に念仏だ。ヘッジファンドが一気に勝負にくるか月曜日からの為替市場に注目したい。
ところで、なぜ韓国が事実上日米を嫌い役立たずの中国によっていったかを考察してみたい。韓国に対する日米のスワップ延長せずが直接の原因との見方もあるが本当の理由はIMFに対する嫌悪感にあるようだ。自国の責任にもかかわらず支援機関を嫌悪する得意のパターンだが、IMFはホワイトナイトではない。韓国は幼稚すぎる。
そもそもIMFは、経済的に苦しい国を援助するための慈善団体ではない。IMFは元来、ドル中心の世界経済秩序を維持する目的で、アメリカが主導して創設した機構だ。IMFの会員国は株式会社と同じように資本金を出し、その額によって投票権を行使する。IMFの総資本金は約2000億ドルであり、米・日・独・英・仏の上位5ヶ国が40%近くを占める。アメリカの持ち分は18.25%、日本とドイツはそれに次いで各々5.67%の持ち分だ。ちなみに、韓国の持ち分は0.55%でありリビア0.56%以下だ。
IMF理事会の議事決定事項のうち、重要事項に関しては、総持ち分の85%以上の賛成が必要という条項がある。つまりアメリカは、IMF理事国のなかで拒否権をもっているということで、事実上IMFを支配しているのだ。
当時の韓国とIMFとの支援合意内容は以下の通り。
1.外国人による株式投資限度を現行の26%から年内に50%、来年には55%迄拡大。
2.外国人による国内金融機関の合併・買収を認める。
3.金融改革法案(韓国銀行の独立性保障と統合監督機関の設立が骨子)の年内処理。
4.短期債券市場の早期開放。
5.税収の拡大と支出の削減による財政黒字の達成。
6.輸入先多角制度(日本製品を対象にした輸入制限)を、来年早期に撤廃する。
7.来年度の経済成長率をGDP(国内総生産)の3%とする。
8.98、99年の物価上昇率を5%以内に、経常収支赤字はGDPの10%以内とする。
上記の条件を付けてIMFは210億ドル、世界銀行100億ドル、アジア開発銀行40億ドル、日米など7ヶ国による220億ドル(日本は100億ドル)の支援ワクが設定された。総額570億ドルに及ぶ支援は、94年メキシコへの支援額(500億ドル)を上回る史上最大の規模であった。ところが韓国は支援に感謝するどころか、返済優先が当然であるにもかかわらず、国家の予算と租税に関する問題は、重要な政治行為だ。税収使用決定権がIMFにあり、政府が自由に使えないというのは実質的IMFの韓国支配だと反発していた経緯があった。これがトラウマということであったのだろうか。
7月3日の日韓スワップ協定30億ドル分終了の翌日4日、日本の韓国に対する与信、信用保証停止を受けて、露骨といえば露骨、残酷といえばまさに残酷きわまりない発表があった。この件は昨年のIMF指針に沿った実施発表なのだが、内容が韓国の借金の算出基準の見直し追加で、「IMF基準に合致した結果、公共機関借金も合算し、政府の借金1500兆ウォン(約130兆円)に増加」というものであった。日本という後ろ盾を失ったあくる日にIMFの厳正な基準に沿って、公共部門の借金もきちんと追加せよと圧力がかかったということだ。具体的には公共部門の借金範囲に206の公共機関の借金が追加で含まれる見通しで、韓国政府がこれまで一般政府借金統計に含まなかったLH・韓国水資源公社・韓国銀行・金融監督院・産業銀行・企業銀行など金融・非金融公共機関が対象。また公共部門に含まれる公共機関は計439。中央295と地方137に韓銀・金融監督院・産銀持株・産業銀行・企業銀行・KBS・EBSが含まれる。公共部門の借金は、昨年末を基準として中央政府の借金902兆4000億ウォン、中央公共機関借金493兆4000億ウォン、地方政府31兆ウォン、地方公共機関75兆ウォンなど計1501兆8000億ウォンと推定されている。保証人がいなくなったとたんに、隠れ借金を公表させられるとは...。
これと同時に、7月4日、IMFと世界銀行は、経済危機に直面した際、韓国の銀行にどれだけ抵抗力があるかを調べるストレステストに着手した。家計債務の増大に加え、景気低迷で建設、造船、海運などの業種で不良債権が増えており、危機が深刻化した場合に銀行が財務の健全性を維持できるかがチェック対象だ。以下朝鮮日報からの引用。「金融委員会によると、IMFの局長級を団長とする6人程度の評価団がこのほど韓国入りしており、4日には国民銀行など4大銀行のリスク担当役員と会合を持ったという。
今回のストレステストは、IMFが加盟国の金融システム、金融監督体制などが国際基準を満たしているかを確認するために実施する特別プログラムに沿ったもので、1999年に導入された。世界的な金融危機後の2009年に主要20カ国(G20)が参加して発足した金融危機対応機関、金融安定理事会(FSB)の加盟国は5年ごとにテストを受けなければならない。9月にはIMFと韓国政府による定例協議が行われ、ストレステストの結果は11月ごろに公表される。金融委関係者はストレステストはこれまでIMFの人手不足で延期されてきたが、2004年以降10年ぶりに実施されることになると説明した」10年ぶりの実施がなぜ7月4日なのでしょうか。韓国!ここは踏ん張りどころだ。日本なんかあてにせずに宗主国中国と手を携えて頑張りなさい。さすれば必ずや明るい未来が開けるだろう。
明日は病院です。それではまた。