B....あくまでも仮定の話ですが、もし中国が尖閣諸島に侵攻した場合、占領、確保、死守のパターン以上には進めないでしょう。日本本土への侵攻は現実的に不可能です。ところが占領地尖閣の確保だけでなく、戦争となれば中国のシーレーンそのものが脅かされます。米が後ろにいるだけに戦線は膠着します。長引けば経済が崩壊、内政治安ももたないでしょう。100歩譲ってそれらが持ちこたえたとしても、開戦は日本の武装強化、憲法改正をまねくことは必然で虻蜂取らずとなります。私も可能性はないと思います。
司会....皆さん全員が日中戦争の可能性を否定されました。そのあとでの日中戦争への対応は如何というテーマは取り上げにくいのですが...
C....シミュレーションの問題ですからそれはいいと思います。ただ尖閣区域での衝突までと、エスカレートして全面戦争となった場合、つまり自衛隊が前面に出て迎撃命令を遂行する場合と分けて考える必要があります。そうでないと問題の条件が複雑すぎて考察しきれません。わかりやすく後者のほうからはいります。先般の日米合同演習ドーンブリッツや今回の総火演での設定のような尖閣周辺海域がとりあえず膠着状況となった場合、海自は積極的防御に入ります。具体的には第1列島線と東シナ海封鎖です。日本海へのルートも封鎖となるでしょう。この場合は韓国との問題が生じますが近々の韓国の動向を見ておりますと友好国というよりは実質的敵国のような状況なのでやむを得ないと思います。このあたりは現役自衛官ではコメントできない部分です。(笑い)ただし海自の戦略は軍事専門家でなくてもわかる単純明快なもので、積極的防御と言いましたのは尖閣含めて第1列島線防御から台湾まで封鎖線を延長するという意味です。つまり東シナ海と南シナ海を遮断して中国シーレーンを断ち切るという作戦です。中国の意図はわかりませんが、あくまでも日本を屈服させようと戦争を遂行する意志があるならば、間に海があるため必然的にミサイル攻撃となります。日本の基地への攻撃は米軍を巻き込みますし、都市攻撃はその侵略行為に対し世界中の非難を浴びることになるのは必至です。封鎖についてはDさんお願いします。
D....第二次大戦において米軍は港湾海域に大量の機雷を爆撃機から投下設置しました。これは日本に強烈なボデイブローとなりました。その当時の機雷と現在では比較になりません。全く別の兵器と言ってもいいくらい進化しています。魚雷、機雷、ホーミング等で検索すれば軍事機密と思われるような情報が詳細にわかります。当時の機雷は待ち受け式で、攻撃能力はありませんでしたが、現在では機雷は魚雷という機能を両方備えているのが普通です。それも各種センサーを装備して疑似作戦にもひっかかりません。この部分は海自の10式戦車と言っていいと思います。(笑い)海自の海中ネットワーク攻撃システムはすでに完成していて運用されています。中国潜水艦については既存の全潜水艦の情報は完璧に把握できていますので東シナ海から一歩も出ることはできません。出ようとすれば自動的に撃沈されます。日本の海峡部分はもとより、東シナ海の大陸棚は浅く、秘匿通過しようと思えばルートが限定されるので沈止機雷で簡単に撃沈できるのです。(笑い)人民解放軍海軍の水上艦艇についても同様です。台湾東海域における機雷封鎖は他国民間船舶の関連で政治的な問題が生じますが、航行禁止海域指定するまでもなくこんな海域を航行する船舶は撃沈されることを覚悟の船舶しかないでしょう。軍事的には完全に封鎖できます。実際には民用と軍用艦船の識別も可能ですが、この辺は軍事機密です。(笑い)
日本は専守防衛、また中国侵略の意図はありませんので、対中国対峙海域を封鎖してもこちらから越えることはないから全く問題がないのです。
司会....Dさんのお話を伺っておりますと中国は戦争など考えられないと思うのですが、要はこの日本の自衛隊の防衛能力を知らないということでしょうか...
D....多分そうだと思います。日本の対潜水艦防衛技術は冷戦時代の米ロの最前線で極東のロシア潜水艦を太平洋に出さないという戦略のもとで叩きあげられました。今では対潜水艦に関しては世界一の水準です。よくP3Cや対潜ヘリは話題になりますが、実は凄いのはまさに海中なのです。これは極秘のかたまりなので詳しいことは言えませんが、海中では通信が不便です。通信のための浮上は特に原潜はタブーです。この海中における通信システムを日本は作り上げ実用化しています。限定された海域での日本独自の特殊システムで世界のどの海軍もこんなシステムを考えようともしていません。ところが時代が変わり仮想敵国がロシアから中国に変わっても、その地理的関係は同じ条件であるため、今でもそっくり使うことができるのです。中国はもともと沿岸海軍で近年急速に外洋海軍を目指していますが、海戦の経験が全くないため、あちこちが穴だらけです。見栄えのする空母やイージス艦をそろえてきていますが、海軍力は全体のシステム力です。潜水艦を造ってもその運用力がなければただの鉄のかたまりです。特に原潜についてはチンドン屋で(笑い)実戦には全く使えません。要するに戦争相手の能力と実戦とはどういうものかということが全くわかっていないと思います。
E....全面戦争の事態となって、敵を見つけ次第攻撃殲滅せよという命令が出ているのであれば、空自の防衛能力に問題はありません。日本の場合は中国と戦争とはいっても国土防衛戦争ですから、いわゆるハリネズミになっていればいいわけで、海自さんと同様にモグラ叩き戦法(笑い)になります。列島周辺網の目にレーダー監視網が張り巡らされる中を突撃してくる戦闘機や爆撃機はいないでしょう。ドッグファイトにはなりません。近代戦は目に見えたときには終わっているのです。現在、尖閣周辺に中国の艦艇がうろついたり、空域を戦闘機や爆撃機が飛行するのも日本は攻撃しないという前提に立っている行動で、発見次第撃墜というような事態であれば一切なくなります。現在、中国基地発進次第把握できるような準備もしているところです。海自、空自と衛星監視システムとの連携で中国海空軍は身動きができないと思います。
F....出撃した潜水艦がすべて消息不明、出動戦闘機がすべて帰還せず、出撃艦隊全滅というような凄まじい被害を受けるまでたぶんわからないのではないかと...(笑い)
個々の兵や兵器が優れていても戦争は組織の戦いです。空母やイージス艦を増やして、ステルス戦闘機をつくる。これだけで世界制覇できるほど世の中単純ではありません。いざとなったら核を使えばいいという考えはまさに弱者の発想で、相手がもっていないから使うという考え方はそれこそド素人の発想です。どうも人民解放軍三軍はばらばらで、政権と軍部との戦略的意思統一もないように感じます。皆さんと同じ結論になりますが中国の全面的侵攻は人民解放軍の壊滅をまねくだけだと思います。
司会....海空頼もしいお話で、陸自の出番がなさそうですが...(笑い)
A....全くその通りで、実際全面戦争となっても陸自が最前線で戦う場面はないと思います。この日中戦争と同様に、確実に起こるであろう日韓戦争での陸自の役割は国内治安対策です。これは尖閣の衝突と同時になりますので第1のテーマに戻ってしまいますが...
司会....それではここからは尖閣における開戦への対応ということでお願いいたします。
A....ご承知のように現在日本国内には約50万ほどの在日中国人がいます。在日朝鮮人は約60万ほどです。従前、中国人については自衛隊として特に問題とすることはなかったのですが、2010年中国で国家動員法という戦争時の動員法が制定され、国内法でありながら、よく読むと戦争有事の海外中国人動員法という戦争準備法がすでに施行されており、これへの対策が必要となりました。昨年、親中、親韓、親北朝鮮の民主党政権が安倍政権へ変わると同時に、新たに立て直した公安から新規に要注意人物リストが提供されたと聞いております。あくまでも噂ですが、それによると日本人が帰化朝鮮人を含まず約2万人、在日朝鮮人、帰化朝鮮人あわせて約7万人だそうです。つまり過去も、また最近に至るまで治安対策は朝鮮人に対するテロ、ゲリラ、有事対策で、そこに中国人は含まれていませんでした。朝鮮人に対する治安対策であれば自衛隊はバックにいればよかったのですが、尖閣有事となり在日中国人が動員となると、彼らはいわゆる軍属です。敵戦闘集団を警察任せというわけにはいきません。新たな対応が必要となりました。安倍政権では国家安全保障会議なるものを発足させて、いわゆる集団自衛権や憲法問題に対応しようとしていますが、現場を預かる私たちとしては喫緊の問題として近い将来とられるであろう対策を前倒しで準備をはじめたというのが現状です。その対策についてはBさんから...
B....もともと自衛隊は国あるいは戦闘集団を相手にする戦闘組織です。戦場におけるテロとか、ゲリラに対する対応はともかく、国内におけるテロ、ゲリラ対策は警察、機動隊の管轄という意識でした。従前から想定されていた朝鮮人暴動であっても対応は警察、機動隊です。なぜならそれは殺し合いではなく国内法の問題だからです。しかし動員された中国人軍属は公然であるかないかは別にして、戦争相手国の少なくとも文民ではありません。戦闘行為は正当行為として戦時国際法で保証、保護されます。しかし厳密な意味で交戦要件をみたさない文民警察官や機動隊員は職務遂行上の死傷者発生事案でも戦時犯罪に問われるというおかしなことが起こります。そこでこれに対応するのは自衛隊ということになりますが、まず絶対的に数が足りません。交戦資格を持ち、少なくとも準公務員資格を持ち、戦闘経験がある即戦力組織の編成となれば、自衛隊予備役やOBによる新規部隊編成しか手段はありません。警察や機動隊の武装強化だけで対応できればいいのですが頻繁にメディアを賑わしているように内部情報が筒抜けの状況ではあまりにも危険で情報の相互交換さえもできません。関係筋からは日中開戦時、在日中国人、在日朝鮮人は連携してゲリラ戦を展開するという情報も入っており早急に対応する必要があります。また全く報道されていませんが政治の親韓政策とは裏腹に自衛隊前線の隊員間では、嫌韓一色で2011年初頭では爆発寸前までいっておりました。3月の東日本大震災でそれどころではなくなったものの、その火種は現在も残っていると思います。この嫌韓ムードは今や全国民に広がっていて、尖閣開戦となった場合中国だけの問題ではなく連鎖的に反韓、在日狩り的行動として爆発する可能性が限りなく高くなっています。もしそうなれば国内の治安は最悪の事態となるのは必然で、国内治安維持対策としても前述の新規部隊編成は絶対必要でしょう。政治状況にかなり影響されるとは思いますがこういう対策を事前にもちだすのはむずかしく、水面下で準備というのが現状だと思います。いずれにせよ近いうちに安全保障会議が動き出すと思います。
司会....尖閣開戦は韓国や国内治安問題を引き起こすことがよくわかりました。Eさん。
E....陸自さんの苦労を聞くと空自は楽だなあと思いました。(笑い)今、基地周辺は戦争前夜のように何かぴりぴり感をもったスパイがかけずり回っている感じです。(笑い)なにしろ顔を見ても日本人か中国人か朝鮮人かの区別がつかないうえに、日本はスパイ行為に関して取り締まる法がありません。まさにスパイ天国でこれは何とかして欲しいですね。尖閣において開戦となる発端は空自戦闘機が撃墜されるか、海保あるいは海自の戦闘艦艇が撃沈されるという事態の発生です。私たちは戦闘組織ですので上からの命令で動きます。ただし自分の作戦行動が部隊あるいは日本にとってどういう意味を持っているかということを知っておきたいとは誰しもが思うことです。中国機の領空侵犯に対しスクランブルをかけても彼らは憲法上の制約があって日本は攻撃ができないと確信しています。よって挑発行為のやりたい放題です。この我慢のつらさについて、空自では本来あり得ない対応をしています。政治的背景については戦闘部隊は普通関知しません。しかし中国の事情、日本の事情を知ることによってより任務の重要性が高まり忍耐力が増します。全面戦争となれば日本が圧勝します。中国の強気は従前の日本の弱気外交にありました。よって中国は強気に出れば日本は引くと思っていたのです。ところが安倍政権の毅然たる対応に振り上げた拳の下ろしどころとタイミングを失ってしまったのです。ここで引けば周政権もしかすると共産党政権すら崩壊の可能性があります。といって強引な侵攻は世界中の非難と米軍の介入をまねきこれも中国崩壊につながりかねません。行くも帰るも地獄です。こういう事情は本来戦闘部隊には必要がありません。それを隊員に徹底して丁寧に説明しているのです。したがってスクランブルにさいしての命令は敵に攻撃されたら即、脱出せよです。(笑い)
これで任務が果たせるのです。
F....中国は日本が先に仕掛けたという形を作りたいのだということを徹底させています。危険と見たら即脱出。間違っても死ぬなよと。(笑い)開戦したら10倍返しだと言っています。(大笑い)それにしても命がけの現場を何とかして欲しいですね。
司会....海自さんも尖閣では大変だと思いますが...
C....Eさんの話じゃありませんが、海自でも基地周辺はスパイの巣です。中国の基地周辺に日本人のスパイが群がるなんて想像もできませんが日本では現実なんですね(笑い)
これだけさらけ出していても世界一とはこれいかにと時々日本人の凄さを感じたりしますが。ま、これは余談です。尖閣では当初は海保が対応します。Eさんの話にありましたように海保は大変だと思います。海自としてはどのような形での開戦であれ作戦は先述の通りで引いて封鎖すれば戦争というより中国という国が終わります。開戦は軍部の暴走か、現場の偶発的衝突ですね。
D....全面戦争は中国が100%負けます。しかしCさん言われる暴走、偶発的衝突はかなりの確率であると思います。そのあとの処理は政治的な問題ですが、とりあえず在中の約14万といわれる邦人の安全な帰国について対策を確立しておいてもらいたいですね。在日中国人が約50万とはいってもそれは動員軍属です。日本人は民間人です。人の命の軽い国ですから、流れから言って人質に取られる可能性がかなりあると思われます。その場合政府はお手上げで全く打つ手がないでしょう。こちらも中国人を人質に取るようなことが果たしてできるでしょうか。現状では自衛隊は専守防衛の軍隊です。海外救出作戦はできません。従って冷たいようですが、このような状況下に危険な場所にいて帰国できないのは自己責任としてあきらめていただくよりないのです。進出企業には考慮願いたいですね。それと海自の封鎖作戦は韓国海域も当然含まれますので韓国との衝突も必至でしょう。この問題はこのあとということですので、その時に...。
司会....ありがとうございました。次のテーマは日韓戦争です。 つづく