ところで今回アンケート用紙には質問欄を設けていたのだが、予想をはるかにこえる書き込みがあった。なかでも200をこえていたのが第1列島線とシーレーンに関するものであったので、今回ここで取り上げることにした。
現在、尖閣諸島において日中ごたごたしているが、戦争となるかどうかはともかく、日中双方の準備状況については考察できるのでここから入りたい。中国としては尖閣を強引に占拠することは可能だが、その後どうするのという問題がある。あんなところに中国軍を上陸させて周囲を軍艦船で防御なんて現実にできるわけがない。中国が欲しいのは周辺海域の資源であって尖閣諸島そのものではないからだ。仮にそういう状況になって開戦となったとき日本は既定の防衛体制に入る。その際尖閣周辺はもとより、東シナ海、南シナ海全域及び第1列島線西部が機雷封鎖される。先月まで自衛隊が頭を悩ませていた韓国については10月25日に竹島武力占拠を韓国が防衛演習と称し事実上認めたことにより日本海にわたって封鎖が可能となった。つまりバシー海峡から宗谷海峡までの線で防御線が引かれるということだ。これについて具体的に説明していこう。
機雷封鎖....機雷といっても現在の機雷は魚雷機能をもってかつ自動的にセンサーで目標を追尾するすぐれものだ。ホーミングで検索すればどこでも詳細が閲覧できる。一般的に海上における機雷封鎖は港湾とか河口とか地理的条件があるのだが、日中、日韓戦争に限っていえば戦略的にぴたりと当てはまる戦術なのである。日本は海を越えて中国や韓国を侵略するような意図はない。敵国が海を越えて攻撃してくるのを防御すればいいだけだ。よって対馬北方から竹島ライン。沖縄からフィリピンラインにかけての封鎖で敵は干上がる。海上戦闘において艦隊がその姿をさらけ出しているということは、よほど戦力に差と余裕がない限りは撃滅される可能性が高い。空母をもたない艦隊は航空戦力の援護には限りがあるので外洋侵攻の場合には最低でも潜水艦の露払いは必要となる。しかし東シナ海のような浅い海では潜水艦は撃沈されるために航行するようなもので全く役には立たない。よって第1列島線EEZに沿って機雷をばらまいておけば艦隊は身動きができない。戦闘機や空母あるいはイージス艦は話題となるが戦争の決着をつけるのは海の下なのだ。中国海軍がこの状況を打破する方法は一つしかない。第1列島線を突破して東側の太平洋に出ることである。東側に何隻かの原潜がいるだけでこれは大変な脅威となるからだ。機雷封鎖はフィリピンラインにかけてが限界であるので以南は別の対応となる。
海底ケーブルセンサー....最近、中国海軍艦船が宗谷海峡突破とか宮古島突破とか中国では報道されているが、平時に公海を航行するのに制限はない。突破という話にはならないと思うのだがまあそういっている。実は日本に重要な戦闘情報を与えていることに彼らは気がついていないのだ。日本は日露戦争の時代から通信ケーブルは重要な軍事扱いであった。戦後になっても政権に関係なく必要な作業は進められていた。1970年代から同軸ケーブルから光ファイバーに切り替えが進んで、現在では第5太平洋ケーブルまで完成している。その時代から日本は離島中心にケーブル敷設を進めてきた。そして重要海峡にはケーブルセンサーを設置してきたのである。ケーブルセンサーとは聞き慣れない用語かもしれないが前身は海底電線である。電話線がデーター送信線になったというわけだ。ところが軍事用インターネット、つまり無線の時代が来て衛星通信が華やかになるにつれて海底ケーブルは落ち目となっていった。70年代後半通信距離の問題とデーターの質の問題から光ファイバーの敷設が一気に進んで今では世界中が何重にもネットワーク化されている。この同軸ケーブルと光ファイバーケーブルの切り替え時期にケーブルセンサーの取り組みが始まったのだ。同軸ケーブルは送信する電気信号減衰を数キロごとに増幅する必要があるが光ファイバーは数十キロで速度にも格段の差がある。勝負はあった。ところが使い道があった。地震計である。海底地震計は沈めた後に浮上させて回収する。電源がないので交信ができないからだ。ところがケーブルにつなぐとケーブルには中継器を動かすための電力がある。よってそのままデーターの交信ができるようになるのだ。地震計には海流速度、温度、水圧、傾斜計等いろいろなセンサーがついている。当初は一定の時間ごとに集計していたが現在ではリアルタイムだ。これは発展して現在では緊急地震速報として完成したシステムとなっている。この地震計が日本近海だけで数百個は敷設されている。実は軍事機密で実際はどのくらいなのかはわからない。海底ケーブルのラインは現在では何重にもリンクしていて一カ所切断しても関係がないようになっている。東京から5本の太平洋ケーブル、ハワイ、グアム、フィリピン、シンガポール、タイ、インドと全部リンクしている。またいくつも途中分岐しているのだ。長崎ナホトカ日本海ライン、長崎釜山ライン、長崎上海ライン、沖縄フィリピンライン、沖縄台湾ライン等もリンクしている。従前は日本近海ラインとハワイまでの太平洋ケーブルへの地震計設置で米と日本の管轄内での運用であったが、インドネシアやインド津波の影響で現在ではインドラインまで範囲に入っている。そしてハワイに地震津波センターがある。さてこの地震計、内蔵しているセンサーは水流、水温、水圧、傾斜、磁気、音響とある。あれれ地震計に音響センサーなんて関係があるのかな?一方機雷センサーは水温、水圧、磁気、音響であるからまるで同じだ。イプシロンロケットに衛星を乗せれば衛星ロケット、核を乗せればミサイルだ。地震計も魚雷をつければ機雷となるということだ。まあ現実にはそんなことはないが艦船の動向チェックには完璧に有効だ。たとえば先般演習帰りの中国駆逐艦2隻が津軽海峡を通過したが敷設のケーブルセンサーによって、固有の磁気、艦の大きさ、エンジン音、スクリュー音がすべて記録された。もしこの艦が東シナ海で開戦時機雷網にかかったら瞬時に撃沈される。なぜなら敵データーとして登録されているから識別の必要がないからだ。現在、韓国海軍の全艦船と中国海軍の大型艦及び海洋警察の5割以上、そして潜水艦は原潜含めて全部が把握されている。フィリピン以南の第1列島線を突破した原潜は必ずこのケーブルセンサーの上を通過しなければならないようになっている。よって出口で待ち伏せされて撃沈される。万万が一にも逃げられる可能性はない。その万万が一に備えただめ押しが今年。日本海溝深部における地震センサー140基設置である。ここはまさに原潜の隠れ場所だ。そこがうまく逃げおおせた中国原潜の墓場となる。当然のことながら米とは情報共有、世界の地震津波情報は日米がにぎっているということだ。
日米英の外洋国家はこのような不断の努力をしているのだが、韓国にしても中国にしてももともと沿岸海軍で外洋の航行経験もなければ艦隊運用経験もない。当然のことながら戦闘経験もないので実戦において何が不要で何が必要かという基本的なことが全く準備できてないというよりはわかっていない。韓国海軍は自身の敷設した機雷に触雷して哨戒艦が沈没なんてレベルだから無理はないが、釜山にはケーブルが通っているし、長崎ロシア日本海ケーブルは竹島の西を通っているくらいのことは知っておくべきだろう。もっとも日本がすべてわかっていて知らないふりをしていたことがばれたらファビョンでしょうな。ところでこの件は中国も慌てているようだ。しかし中韓ともに自前のケーブル一本もっていないのだからどうにもなりませんな。
元海自に言わせると、「おそらく現在はうすうすはわかっているとは思いますが、これほど完璧にデーターが把握されているとは夢にも考えていないでしょう。とりあえず中国軍潜水艦乗組員は経験でわかっていると思いますが...。海自は潜水艦の撃沈訓練に、のこのこでてきた中国潜水艦をさんざん使いましたから。最後は模擬魚雷で追っかけ回しましたから生きた心地はしなかったでしょう。開戦となれば出撃しないで自沈、自爆する可能性がありますね。出てくれば100%撃沈されることがわかっているのですから。上の方がいくら景気のいいことをいっていても、現場はわかっていると思います。艦隊は黄海で遊んでいるしかないことを。逆に実態が全然わかっていない坊ちゃん少将のほうが危険ですね。海自の悩みはどこで原潜を撃沈するかということです。できるだけ日本から離れたところが理想ですが、そういうわけにはいかないでしょう。放射能汚染が当然あるわけですから近隣諸国に迷惑がかからないようにするのが難しいのです。原潜は出港時から追跡ができるので逆にそれが悩みなのです」どうも我々ド素人が心配する必要はさらさらないようですな。 それではまた。