『あなたの人生、先は明るいですか』
「もうサイコ~!トイレの百ワット。明るすぎて無駄ってやつっすよ!」
そんな会話を交わしたような気がする。
こいつ変態!みたいな顔をしてその場を逃げていった。
私にキャッチセールスを仕掛けようなど、1億万年早いのだ。どう見たって向こうは20台半ば。
私のようなアマノジャク一筋うん十年の人間を引っ掛けられるわけが無いだろ。私に近づいてくる時点でキャッチセールスマンとしては失格だって。
それにしても運命を信じますかと問われれば、私はどうも変人を目撃する運命にあるような気がするのだ。
過去目撃して一番ゾッとした変人が、「タイガーマスク」である。
会社帰りにわざわざ遠回りをし、知らない道を発見するのが好きな私は、その日かなり遅く、
もう23:00時にはなろうかという時間に暗い夜道を歩いていた。駅を反対方向から降りて、跨線橋を渡って帰ろうと思ったのだ。
そして、跨線橋の階段を上り始めようとしたその時、
私は見た!
黒いタイツを履いて上半身裸で顔にはタイガーマスクの男を!!
しかも仁王立ちで腕組みまでしている。
しかしここまで来たら引き返せない。
この橋を越えなければ家には帰れないのだ。勇気を振り絞って階段を上りきり、その男の脇を何事も無かったように普通に通り過ぎた。
人間は理解不能な状態に遭遇すると平静を装おうものなのだ!!