ロバートはそりゃあいい人だった。イギリス人の超々エリートだよ。そんな人がわざわざ向こうから、しかも“街場の”広告制作会社の立早に挨拶してくるんだぜ。D通なんかの「アルバイトまで威張ってる」ような、傲慢丸出しの日本の広告代理店とは全然違うよ。
戦うADシリーズで、今後日本の広告代理店の「アルバイトでも威張るやつ」を書くと思うけど、外資は全然違う。スマートだ。今、外資というと「ハゲタカファンド」の事を言うみたいだけど、アメリカ系企業以外は、きちんと礼儀を守る所もあるって。
でも外資が日本で“まともに”仕事をすると潰れちゃう。だから“ダーティー”な外資ばかりが目だつんだ。ちなみに日本の「サー○&サー○」は潰れてしまった。今ある「サー○&サー○」は日本資本だ。
だいぶ脱線してるけど、とにかくそんな事でどういうわけか外国の仕事もやってる。でもって、前のほうに「ゼロ戦のチラシ」が掲載されてると思うけど、このチラシのデザイン、イラストレーション、チラシに描かれてるコインのダミー全部立早作だ。
やっと先日、コインの本データが描き終わったから、本物のお金が「マルタ騎士団政調」発行で、鋳造は多分「マイヤーズミント」あたりミントってガムじゃないよ。造幣局をミントっていうの。見て解るとおり、終戦記念に出す記念貨だから、8月15日に出さなきゃ意味ないんだけど、多分発行は9月15日になる。
なぜか。バカンスだよバカンス。今イラストが出来上がっても、ちょうど発行政府の担当者もバカンス。発行する造幣局もバカンス。間に合わないっての。
まあそんな感じで、一般常識の「民間人がお金なんか作る訳がない」というのは立早には通用しない。というか世界の常識ではお金は民間で作るものなんだ。
世界にも国立造幣局ももちろんある。でも多くは民間の「メダル製造会社」がお金を作って政府に売るの。だから世界中の造幣局は、けっこう協力関係が深い。それだからこそ「世界を又に掛ける」様な状況になるんだけどね。
一応日本も国立造幣局ではなくて、独立行政法人造幣局だよ。これはほとんど誰も知らない事だけど、日本の造幣局でも民間人が頼めば門前払いだけど、ある筋を通すと“ニセがね”を作ってくれるんだ。もちろん日本の場合は「公式再鋳貨」と銘打って模造品である事を証明するけどね。立早の知り合いも、昔の日本の有名な「一円銀貨」を造幣局で作ってもらった事がある。
でも海外の造幣局では、ちゃんとオカネとして通用する「本物のオカネ」を作ってくれる。額面が付いていて買い物ができる。まあ実際は額面より販売価格の大きな記念貨で、買い物する馬×鹿はいないわな。だってそうだろ。1$の額面なら1$の買い物しかできないのに、記念貨は10$とかで買うんだから。
でもやろうと思えば「星の王子様ニューヨークへ行く(エディー・マーフィー主演)」みたいに、自分の顔入りのお金も簡単に作れるんだよ。ついでに言っとくと、現在お金は「鋳造」じゃないよ。便宜上「鋳造」と呼んでるだけで、実際は長い棒を切ったり、金属板をくりぬいたりして「えんぎょう」にしてから、スタンプで押すんだ。
バチコン、バチコンってね。このバチコンを同じお金に何度も押すと、ピカピカになっていわゆる「プルーフ」になるんだね。その上にカラーで印刷するのが現在の主流。日本ではあまりお目にしないよね。カラーのコイン。それでもいくつかは出てるね日本製のカラーのお金。
だから立早はそのコインのデザインと、カラー部分のイラストを書いてるわけ。そしたらさ、物凄い「しったか」なやつが現われてさ、私にその仕事をコーディネイトしてる会社(つまり私のスポンサー)の専務にさ。「このイラストは外国の有名なイラストレーターが、手書きで描いている。」ってわざわざ電話かけてきて言うのよ。
もちろん専務は誰が書いてるか知ってるから、「はあ。そうですか?このようなイラストは日本人のほうが得意だと思いますけど。」って言ったの。
そうしたら、「何言ってるの?外国のオカネを日本人が描いてるわけ無いじゃない。」
「はあそうですか。でも手書きじゃなくてコンピュータじゃないでしょうか?」
「君ね。この手のイラストをコンピュータで描く人間はいないよ。絶対に手書きだよ。」まあそんな、おせっかいな上に自分の恥を晒してるやつも居るって事。
ハイハイ左様でございますか。立早は外国人で、イラストを手書きで描いてるんざんすね。そーいうことにしといてやっても良いぞよ。まあもう一度ちゃんとを見てみてね。コンピュータでかいたつもりなんだけどなあ~。