タッチ:願望をタッチしてしまった話
 いま「あだち 充」の「タッチ」を再放送している。立早は普段、マンガ・アニメの類はまったく見ないけれど、このタッチは名作だと思っているんだ。とにかくワンパターンな内容になりがちな「学園もの」の中にあっては、思春期の少年・少女の“甘酸っぱさ”や“はがゆさ”“爽やかさ”を大変良く表現していると思うし、ギャグのセンスもなかなかいいと思っている。
いわゆるドタバタの爆笑ネタではない、セリフを良く聞いてみると「フフッ。」となってしまう、小技的なセンスがいいのだ。双子の達也と和也。実は才能抜群なのに、弟を引き立てるためにあえて間抜けを演じ“三味線を弾いている”兄達也。
周囲からは和也とカップルと思われているが、実は達也が好きな朝倉南。そして不意の事故でなくなってしまう弟和也の分まで、たくましく生きていこうとする兄の達也…
まあ、あらすじなんてここにわざわざ書かなくても(しっかり全部書いてるけど)、大多数の人が知ってるんじゃないかな?そんな内容が実に巧みに描かれているとおもう。
そこまでドラマチックな内容じゃ全然ないんだけれど、立早が知人の願望を“タッチ”してしまった話。
まだバブルだった頃だから、いつものように昔の話だ。立早の知人に「写植屋」という業種の社長がいた。「写植」というのは、印刷用のきれいな文字を、印画紙に焼く仕事だ。昔の活字を一文字づつひろう作業を、写真に置き換えたものだから、“写真植字”で写植だ。
現在は文字も写真もデザインのベース(つまり版下)も全てデータで済んでしまうから、絶滅したも同然(実はまだ生き残ってるところもある)の職業なんだけど…
当時その社長は口癖の様に言ってたんだ。「みんな本当に馬×鹿だよな。わざわざ家賃の高い東京に事務所を構えて、家賃払うために必死に働いてるんだから。俺だったら、河口湖あたりに事務所構えて毎日釣りでもして時間をつぶして、仕事のあったときだけ写植を打つよ。
だって地方なら物価が安いから、そのくらい暇でも食えちゃうんだよ。」ってね。ところがこの考えはまったくの穴だらけで、絶対に実現不可能なんだよ。まず、写植というのは納品形態が「物質」であるということ。データ納品でなく“物納”なんだから、必ず届ける人間が必要だ。
しかも仕事の発注先はほとんど東京にある。受注自体はFAX(当時はまだメールは普及してなかった)ですればいいとして、出来上がった写植を誰が届けるのか?そう単純に疑問をぶつけたら、「なに東京営業所を作って営業を一人だけ雇えばいいんだよ」とのお答え。
ちょっとまて。家賃がもったいないから地方に本社を構えて、営業所を東京に置くのか?じゃあやっぱり家賃もったいないじゃないか!写植というのは“作家性”のない職業だ。当然「名人芸」級から「ドへた」までいろんなオペレーターがいるが、結局誰が打ったって“同じ書体”でしかない。
だったらわざわざ、地方に回送して作業して、またまた東京に回送して納品するような会社には、仕事なんて出さないよ。第一、よほどの信頼の置ける人間でもない限り、支社に営業一人だけだったら、やりたい放題だぜ。
勝手に営業してどんどん仕事を取ってきて、実作業は本社へまわす。本社では来た仕事をやるだけだから、発注者全員を把握していない。でもって勝手に請求書発行して集金しちゃえば、“会社の金抜き放題”じゃないか!そんなこと実現できる訳がない。
しかもその知人の社長はこんなことも言っていた。「写植なんてサービス業なんだから、土・日も営業したら仕事とり放題だし、発注先だって喜ぶぜ。」ってね。でも、仕事が暇で楽にやっても食べられるから、地方に事務所を構えるのに、土・日まで働いたら本末転倒じゃないのか?
これに対する彼の答えは「やはり東京営業所を維持するためには、そのくらいは覚悟しないと。」ってなんなんだ?だったら最初から東京の本社で普通に仕事して、土・日は休んだほうが普通に効率がいいとおもうのだけれど。
まあそんなことがあって、「みんなは馬×鹿だ」といっていた社長はご想像通り見事に潰れた。今頃はタクシーの運転手をしていると思う。生前(違う!)から「万一会社が潰れたら、タクシーの運転手で充分食える。なぜならタクシーの運転手をやったことがあるから。」と言っていたからね。
まあそんあことでその社長とはそれっきりなんだけど…。事実は小説より奇なりというけれど、実はその社長の願望を、いつの間にか立早が“タッチ”しちゃったんだ。
その当時は「それも悪くはないだろうね。でも実現は無理なんじゃない?」と漠然と考えてたんだけど、何にも努力した覚えはないんだけれど、いつの間にか立早が「地方で家賃が安いから、ブラブラしてても食える」という状況になっちゃったんだ。
まあ「立早的バラエティー」のところでも、何度か書いたような状況になってるんだ。なぜ知人の社長は無理だったのに、立早はできたのか?答えは簡単だよ。デザインの仕事は全てデータで納品できるから、「写植屋」のように東京営業所は要らないってこと。
それと、デザインは誰がやっても同じじゃないってこと。つまり「立早がいい」って客は、立早にしか仕事出さないんだから、東京にいても地方にいても、東京の仕事がどんどん来るってこと。でも、これも前に書いたことだけど、評判が良ければ仕事は増えるんで、いくらブラブラしてても食えるとは言っても、勝手にどんどん忙しくなっちゃうんだなこれが。
記事ID:71 549PV 2005-08-11
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