でもって奥さんが買い物してる間暇だし、短冊を全部読んだのだ。
「さか上がりができますように」
「算数の点が良くなりますように」
「背泳ぎができるようになりますように」
「エトセトラ・エトセトラ・エトセトラ…(こんな表現いまどきしないよな。立早ってやっぱオッサン?)」
かわいいもんだ。小学生向きに用意してあるんだから、当たり前と思うだろうけどいまどきの小学生だったら、
「願いは金持ち」とか「政治家になって威張る」
とか書いちゃう奴って本当に居るんだぜ。
そんな願いがひとつも書いてないところが、やはり田舎の小学校だけあってスレた子供が居ないのか。なんて思ってしまった。
そこで私の頭にはある想いが「ムクムク」と浮かんできてしまった。
そうなるともう、やらずには居られなくなるところなんざ子供と同じなんだけど、
とにかく7日を過ぎて、この笹をスーパーの係員さんが片付けるときに目に留まって、
思わず「なんじゃこりゃ?」と思ってくれるような短冊を取り付けたくてたまらなくなったのだ。
もちろん大人はそんなことしない。だから6年3組の立早がやるのだ。
そこでもう一度ランダムに拾い出して、スレたことを書いている小学生が居ないことを確認してからおもいっきり書いたね。
「やっぱ人生金でしょ!(6年3組:立早ノ三)」とね。
そして短冊を笹のつけやすいところに結んだ。すると、その笹の枝の下から青い短冊がキラリンと現われた。
いや本当。ほとんどすべての短冊を確認したはずなのだ。もちろん200ぐらいはありそうだから全部読んではいないけど、少なくとも「やっぱ人生金でしょ!」とは書いてなかったのだ。
にもかかわらず、私の結んだ短冊のすぐ下から現われた短冊にはこう書いてあった!
「やっぱ人生金でしょ!(6年2組:清水○○)」
やられたー!
偶然は偶然には起こらないのである。神かグレートサムシングか知らないけれど、
とにかくその日その場所で、私がたあいもないいたずらをすることを、すでに誰かが知っていたのだ。
私の娘もそれを見て言ったものだ「なんか不思議だね」って。